宗田かつお節のふるさとへ  

竈出汁の素材の話

 

名古屋空港を飛び立ち、車を走らせること4時間

高知県の最南端の町 土佐清水へ

 

高知には年に何度も訪れているが、この街に足を運ぶのは初めてだ。

5月上旬にしては風の強いこの日

海の波は高く 白波がたち 風の音と波の音が交差する

足摺岬から覗き込んだ海はコバルトブルーに輝いていた

四国の最南端 足摺岬の灯台

 

風が強いので漁の心配をしたが、近海の漁の為その心配はないらしい。

ただ、節にむいている魚があがるかどうかは別問題のようだ。

窪津漁港からの風景

 

最初におとずれたのは窪津漁港という比較的小さな漁港だった。

漁港の中央では何名かの業者が競りを行なっている

テレビで見るような大声の競りではなく、なんとなく穏やかな雰囲気がする。

 

 

今日上がったのは、タイにアジ、そしてメジカ

水揚げされたはかりのメジカを摘み上げると「食べるとうまいんだけどね、、、、」

という残念そうな言葉が聞こえた。

食べると旨いのに残念そうな言葉の意味は「脂がのっていて節には向かない」からだ。

 

 

その後、節加工場へ

漁港からの移動は車で5分ほどの距離

工場からは白い蒸気があがり、活気のある音が聞こえる

工場に入ると、食欲をそそる魚と煙の匂いが立ち込めていた。

 

窓から白い蒸気があがる納屋

 

工場に入った魚はまず網カゴに並べられる。

通常節に使われるのは300g~400gサイズ。今日加工されていたのは大きめの400gだ。

『釜立』と呼ばれる工程は、網状のカゴにお腹を上にして並べる作業で、今日のように大きいサイズの場合は火が通りやすいように、お腹に切れ込みを入れる。

何枚か撮影するうちに、どんどん魚は並べら、あっという間に魚がいっぱい詰まった台車が出来上がった。

 

 

出来上がった台車は、台車ごとふつふつと煮えるお湯の中に入れられ茹でられる。

『煮熟』という作業だ。

お湯の中で1時間20分ぐつぐつと煮立てることで、身が引き締められる。

白い蒸気があがり、台車があがると熱気と共に茹でられた魚の匂いで工場中が包まれる

 

一度に4台の台車が入る鍋が3つある

 

粗熱が取れたら一気に節になるのに不要な頭や骨、内臓をとり除き、身を2つに分ける『せいろ取り』の工程に進む。これまた先ほどの釜立に負けず劣らずのスピードだ。

作業を行うのは地元の女性たち。すべてが手作業で進んでいく。瞬く間にきれいになった身が籠の上に並べられていく。

作業は全て手作業で女工さんたちが行う

 

こうしてようやく節作りの最終工程、煙でいぶし節に仕立てる『焙乾』の工程に入る。

ここが節作りの勝負どころだ。長時間かけてゆっくりと煙でいぶすことで水分がとび、

豊かな香りがつく。

薪をくべて火がついた納屋(なや)と呼ばれる室内は、80度から90度に保たれており、

その煙が充満する納屋の中で1日8時間、じっくりと燻していく。

 

どんどん薪を入れて煙で納屋の中を満たす

 

時間をかけてゆっくりと水分を飛ばす 最大で原料で30tがはいる

 

2日間続けて焙乾させ、一度取り出し2日間休ませる。その後5回程度出し入れを繰り返し、仕上げるのに10日ほどの日数をかける。

ゆっくりと時間をかけて焙乾することで、身がしまり固い節に仕上がる。

焙乾を行う納屋の作りは、その作り手ごとに全く違うという。産地によってもその工程や手法が違うというのだ。

 

納屋から出し休ませている節 まだこれから5回納屋で焙乾を行う

 

時間をかけ丁寧に仕上げた「節」は等級別に選定される。

素人の私がみてもちっともわからない。

どこを見ているのかと聞くと「言葉では、(言い方が)わからんき」と言われた。

艶や匂い、持った時の感触そういったもの全て、経験でしかわからないものがある。

「いい節ですね」と同行してくれていた問屋さんが声をかけ、

節をはじく高い音が部屋に響いた。

 

選別場は節の香りが充満している

 

【商品紹介】

こうして作られた宗田節は、粉末加工されアゴ煮干しとブレンドされて竈出汁になります。

竈出汁で出汁を取ると、土佐清水の工場で嗅いだ煙の香りを思い出します。

てまひまかけて作られる節を使った「竈出汁」

ご家庭で簡単に本格的な出汁が取れると、銀の森で人気の一品です。

 

https://ginnomori.jp/fs/ginnomori/c/okudo-dashi

 

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